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政宗の兜とパリの「大名」展


 

かおっちゃん

 

杜の都・仙台と言えば、もちろんわれらが羽生君ですが、

最後の戦国武将と言われる独眼竜、伊達政宗を思いうかべる日本人も多いですね。

彼の兜の、弓なりの細長い月。

なんとも印象的で、甲冑の特別なファンでなくても魅かれてしまいます。

頭上に左右に長く伸びる月が左右非対称なのは、

刀を使う際邪魔にならないよう右側を短くしているからだそうですよ。

本当にかっこいい鎧兜でございます。

 

 

 

(お写真お借りしています)(瑞巌寺収蔵)
(お写真お借りしています)(瑞巌寺収蔵)

 

 

五月の節句の季節、

伊達政宗の五月人形が飾られている家も多いでしょうね。

 

そうそう、パリのギメ美術館では日本の戦国大名の鎧兜の展覧会

「DAIMYOダイミョウ」が開催されています。

閑静な16区にあるギメ美術館は、

カンボジア、ベトナム、タイ、韓国、中国、日本などの美術工芸品を収蔵する、

東洋美術専門のヨーロッパ屈指の美術館です。

 

 

 

 

吹き抜けになっているエントランス、展示スペースも広くて明るく、

遠いアジアへ心地よくスリップさせてくれる、

ふらっと寄るには最高の美術館なのです。

 

ただ、パリの日本人気をあなどるなかれ。

「DAIMYOダイミョウ」展が始まってすぐに来館すると、

普段は人の多くない美術館が、最上階の特別展のみ、人人人なのでした。

こんなにも多くのフランス人が、どうしてまた、

ダイミョウを見ようと出かけてきたのでしょう?

見たところ、いらっしゃる方たちは、30代から70代のインテリゲンチャです。

 

大きな岩のような人の塊が、時々、ほんのわずかだけ進みます。

鎧兜姿のダイミョウのひとりひとりの写真をとっていくお母様・お父様のうしろを、

連れてこられたお子様たちが口も開かずについていきます。

 

 

 

今回展示された鎧兜は大半が17、18世紀のもの。

それぞれ威風のある、素晴らしく趣向のこらされた鎧兜で、

兜の鉄仕様などには最先端の技術が用いられています。

すでに徳川家康による天下統一の後ですから、16世紀の戦国時代そのものを生きた

伊達政宗のものと直接比較することはできませんが、

甲冑というものは、いつの時代でも、超一流の美術工芸品でもあります。

 

そしてこれらも、下野、上総、美作、豊前、若狭など、

さまざまな地方で名を馳せた大名の鎧兜ですが、

すべてヨーロッパの公私コレクションです。

貴族の邸宅美術館などに行くと、よく古い時代の鎧兜が飾られているけれど、

はるばる海を渡った日本の甲冑も、かなり前からそのお仲間入りをしていたのです。

 

ギメ美術館の最上階で、いっせいに膝を並べた11人の戦国武将の鎧兜。

すでに日本好きなフランス人の好奇心を、さらに掻き立ててくれたようでした。

 

 

そういえば、羽生君の「SEIMEI」もルモンド紙では

「サムライのプログラム」と形容されていたっけ・・・