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ある金曜日のお話


 

かおっちゃん

 

閑話休題。

今週会った外国の方に、金曜日はフランスのお店などは

開いているのか否かと尋ねられました。

もちろん何でも開いていますよ、とお答えしたら、

ええっ本当ですか?と、ぎょっとした顔で驚かれました。

 

そう、今週金曜日(3月30日)は

キリストが十字架にかけられたという聖金曜日だったのです。

彼女がどちらの方か忘れましたが、

スペイン、ドイツ、スイス、カナダなど、

祝日になっている国は多いのですね。

 

さて、このキリスト受難の日は、無宗教なわたしにとっても

なかなか大切な日なのです。

どうしてかおわかりでしょうか?

バッハの受難曲を聞ける、ほぼ唯一の季節だからです。

 

バッハでは、「マタイ受難曲」もとても素晴らしい。

でも、「ヨハネ受難曲」が個人的にはもっと好きです。

どちらも、それぞれの登場人物にオペラ顔負けの

劇的で美しいアリアがあって、コーラスが秀逸です。

こんなにも感動的で完璧な作品が、人の手によるものなのだろうか、

と思ったりします。

 

今年の「ヨハネ受難曲」は、フィルハーモニーで。

 

このコンサートホールは、

鉄のオブジェに見える外観もさることながら、

内部も一風かわった構造です。

でも木材も多く使われていて、居心地は悪くありません。

(大きすぎて嫌いという人もいますが。収容人数最大3600人。

建築家ジャン・ヌーヴェルはパリのケ・ブランリ美術館、

アラブ世界研究所なども設計しています)。

そしてここは音響効果が抜群です!

 

お写真、お借りしております。
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医者が外出しないほうがいいよ、というのをおしての、

バッハ「ヨハネ受難曲」!

だって、これを1年に1回は生で聞かないと、

なんだか禁断症状が出る気がするのです。

 

デジタル化された素晴らしい演奏もいくつもあります。

安易に生の演奏を聴くよりは、そのほうがいい。

でも「ヨハネ受難曲」の音符が、

演奏されたり歌われたりした音になって、空間を響きながら

自分の耳に達し、頭の中で反響するのを感じる、

これには代え難いものがあります。

 

今回のオケは指揮ラファエル・ピションによるピグマリオン。

もっとも重要な声、

福音書記者(テノール)はジュリアン・プレガルディアン、

美声でうまい!

イエス・キリストのトーマス・クラールもグッド。

そして、アルトの美しいアリアがあるので、このパーツは最重要。

でも、天才アンドレアス・ショールばかり聴いていると、

彼でないときには

ちょっとしたことも気になってしまって困ります・・。

 

 

全体評:素晴らしいコンサートでした。