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クリスマスの絵:マリアの生涯


 

かおっちゃん

 

年の瀬もいよいよ迫ってきましたね。

パリも去年よりも観光客が多いようすで、街が賑わっているのを見るのは

やっぱりうれしいです。

 

 

昨日はエッフェイル塔も霧に包まれて、雲の中さながら。

教会なども神秘的な雰囲気になっていたのじゃないかしら。

 

 

年末の連休中はまだ見ていない展覧会にいく!と勇んでいたのに、

足はいつものルーヴルに向かってしまいました。(一番好きなのです)

寒さのせいか、ルーブルのピラミッドの下は人でいっぱい。

パレ・ロワイヤルの駅の地下改札あたりまで入場する列ができていました。

いったん美術館に入ると、広さがあるし、みなさん好きな作品目指して

移動しますから、じっくり見たい人も困ることがありません。

 

クリスマス・シーズンですから、クリスマス関連の絵にしましょう

 

これは、ルーヴルで、フラ・アンジェリコなどを見たあと、

『モナリザ』に向かう途中にある部屋展示の『マリアの生涯』。1440頃の作品。

(今のところ、作者はイタリア人ジョバンニ・フランチェスコ・ダ・リミニと

 されています)

12枚の板絵の中の『キリスト降誕』。

 

ナザレの住民ヨセフとマリアは、ローマ皇帝のお達しで、住民登録のため、

ヨセフの祖先であるダヴィデの町ユダヤのベツレヘムに行っていました。

 

住民登録のために訪れた多くの人で、ベツレヘムの宿はいっぱい。

マリアは小屋(洞窟とも)で男の子を出産し、

子を布でくるんで飼い葉おけに寝かせました。

 

 

ところで、敬虔な様子のマリアの後ろで、

ヨセフが頭をかかえて、むずかしい顔をしています。

 

マリアは赤ちゃんを生んだけれど、ヨセフの子でないのは明らかなので、

状況に困惑しているのでしょうか?

 

ユダヤの掟では、婚約後1年は実家で過ごすし、

マリアはその間、遠方の親戚エリザベトのところにも3か月ほど滞在。

そのあとでナザレに戻ったマリアが妊娠していることをヨセフは知ったのです。

これは大変。

ヨセフはマリアとの婚約を解消するつもりでした。

ところが、夢の中に天使が出てきて、

マリアの妊娠は神の意志によるものであるからして受け入れるように、と

告げたのですって。

 

天使か誰かにそう言われて、そうだったんですか!なんて納得する男性は・・・

いるのでしょうか?

ただ、とても信心深かったし、

老齢な自分が婚約者に選ばれたのも神の思し召しであった、と思い直して

離縁することを思いとどまったとか。

そしてふたりで迎えた、男子誕生のシーンだったのです。

 

この素晴らしい一連の『マリアの生涯』、順を追ってみると:

 

マリアの両親、ジョアキムとアンナは20年も子供に恵まれない老齢夫婦。

神への義務=子孫を残すことができないので迫害されたため、ジョアキムが

荒野で祈りを捧げたところ、天使が現れて、子を授けてあげるよと告げる図。

マリアの両親も、聖霊によってマリアを授かった!

 

山や野原、羊など、細部もなかなかよくないですか?

 

 

お告げのとおり、老齢のアンナが女の子を生みました。

 

 

そしてマリアが3歳の時、約束どおり神に捧げるため、神殿にいきます。

小さいのに、ひとりでしっかりと階段を上ったそうです。

 

 

マリアが14歳になったとき、結婚相手としての候補者が集まった図

『ヨセフと、そして他のマリアの結婚相手候補たち』。

若々しい男の子たちが集まっている中、老年のヨセフの禿げた頭が際立っています。

 

でも神に選ばれたらしき男性はヨセフ。

みなに杖をもたせたら、ヨセフの杖に花が咲いたのだって。

 

 

そして結婚(婚約)。

 

 

そして、さきほどの『キリスト降誕』。

すぐあとには『東方三博士の礼拝』のエピソードがふつう続きます。

 

『神殿奉献』

 

イエスはプクプクして、とっても健康で愛嬌のありそうなお子さんに

描かれています。

 

 

『割礼』ここでもしっかりしたお子さま。

 

 

ユダヤのヘロデ王が、自分の地位を危うくする子供が生まれたと知って

探索を始めたので、また夢の中の天使のお告げにより、

マリア&ヨセフ夫婦は急いでベツレヘムを離れ、エジプトへ逃避します。

ヘロデ王が死ぬまで戻りませんでした。

 

 

ここでマリアの腕にいるイエスのかわいいこと! お洋服もお似合い!

 

 

イエス12歳のとき、家族でエルサレム参りに行ったとき、

両親マリア&ヨセフはイエスを見失なってしまいました。

3日後、イエスがエルサレムの神殿で学者たちと議論しているのを見つけて、

何してるの?ママ心配したじゃないの!四方八方探したのよ!と叱るマリアに、

どうして?僕が自分の父の国にいるのはあたりまえじゃないですか、

答えたという。

 

両親には、その意味が掴みかねたという話です。

 

 

この12枚の『マリアの生涯』には、最重要な出来事のひとつ『受胎告知』などが」欠けています。

実は、中央にそのような主題の絵か彫刻があって、

この12枚はそれを四方から囲っていたのではないか、と考えられているようです。

 

今度、この絵もいっしょに見たいですね!本当に素晴らしいです。

 

では、またね!