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GPファイナルーバルセロナー2014 ショート


 

おねえさんへ

以前書いた文章を送るね!

 

 

スペインのバルセロナで行われたグランプリファイナル。


前回のNHK杯では実力を発揮することができず、
ギリギリの4位で出場枠に滑り込んだ結弦クン。
練習の時の全体から受ける印象は悪くない、表情も悪くない。
でも、期待しないでおこう、あまりプレッシャーをかけないように…
と素知らぬふりを装いながらも、ハラハラドキドキは止まらず。


なんてこと?
スポーツ観戦をするのに、こんな事態に陥るとは…。
ああ、これが自分の息子だったら… たぶん心臓が止まってる。

さて、ショートはショパンのバラード1番。
白から水色、群青へのグラデーションが美しい衣装。
身ごろも袖もバルーンのようにふんわりとさせ、
手首とウェストをキュッとしぼって
華奢な結弦くんだからこそ着こなせる優雅なもの。
そして黒のパンツ。
たいへんよくお似合いです。

ショパンの曲が流れます。
目を瞑ったまま、まっすぐ静かに立ち。
ゆっくりと 頭を回す。 くるりん…、と。

ここの表現だけで見せてくれること!
ただ黙って立つ数秒間でこれほどの演技ができるスケーターが
どれだけいるでしょう?
音楽に合わせて滑るのではなく、
彼自身が音楽なのだと多くの方が感じているように、
音とひとつになる彼の才能は本当にすばらしい。

滑りにも表情にも力が戻っていて、
中国杯での事故の恐怖を克服することができたのがわかりました。
ほぼパーフェクトだったのでは?
1番滑走だった彼の得点を超える選手は現れませんでした。


でもこのときはまだ、次の日に起こるすばらしいサプライズを
想像することはできなかったのです。