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スケート選手羽生結弦と俳優市川雷蔵


 

おねえさん、こんばんは。

 

市川雷蔵がすごいって話は、何年か前にもおねえさんから聞いたことがありました。

もともとはジュジュさんが好きな役者さんだったのね?

 

時代劇の映画って観る機会がなくて、

わたしも市川雷蔵のことは全然知らなかったよ。

パパと一緒に子どもの頃、黒澤明監督の「七人の侍」とか「椿三十郎」を観て

すっごくおもしろい! と思ったけれど、あとはあんまり。

 

でも、結弦くんのことを思い出すなら…と、ちらりと動画をのぞいてみると、

市川雷蔵、かっこいいじゃないですか!

ちゃんと、映画を観てみたくなりました。

他の役者さんにはない立居振舞の美しさに、様式美を感じます。

歌舞伎役者だったことも無関係じゃないんだろうな。

 

本当に、お化粧するところを決して他人に見せなかったみたいね。

しかも亡くなる時、死に顔を誰にも見せるなと遺言したとか。

役者としての、徹底した美意識を感じさせるエピソードだね。

 

 

結弦くんも演技に入る前、

ずーっとイヤホンつけてこわい顔をして他を寄せつけない様子でしょ。

そして目をつむって集中。

役に入り込む時って、やっぱり特別な手続きが必要なんだと思う。

蝶だって、美しい羽を広げる前は、

固いサナギの中で人目には触れず、静かに変身を遂げるわけだから。

 

他の選手の場合は、いい演技してるな、と思う時でも、

「ハビエル・フェルナンデス」という人が、あるいは「宇野昌磨」という人が

「演じている」んだけれど、結弦くんの場合は違うのね。

結弦くんはSEIMEIをやれば「安倍晴明」に、ロミジュリをやれば「ロミオ」に、

ノッテ・ステッラータをやれば「白鳥」に「なってしまう」。

 

そしてわたしたちは、

素顔の結弦くんがどこかへ出かけていってまた帰ってくるまで、

安倍晴明やロミオ、白鳥さんから

ひとときも目が離せないでいるのです。